
沖縄県北部・やんばる地帯にある「又吉コーヒー園」では、約4年前からコーヒー栽培に取り組んできた。そして2017年、ついに沖縄県産コーヒーの初収穫を開始。さらに嬉しいことに、その貴重な県産コーヒーを、収穫から焙煎まで体験できるプログラムがつくられた。
実はここ沖縄は、コーヒー栽培にギリギリ適している地域。台風の多い厳しい環境のもとでの栽培は難しく、やっと少量を収穫できるコーヒーは生産者の努力のたまものだ。
農園の方が、研究に研究を重ね、たった2時間で収穫から焙煎までの体験を可能にした「又吉コーヒー園」の「収穫&焙煎体験」を、実際に体験してきました。
【記事のプラン】収穫&焙煎体験コース(県産コーヒー豆収穫⇒焙煎⇒挽く⇒試飲)
プラン詳細を見る
【プチ体験】焙煎体験コース(焙煎⇒挽く⇒抽出⇒試飲)プラン詳細を見る
■東村にある「又吉コーヒー園」

沖縄自動車道の許田ICまたは宜野座ICを降りて、亜熱帯の景色を眺めながら車を走らせること約45分。「又吉コーヒー園」は、東村慶佐次(ひがしそん・げさし)の森の中にあった。
東京ドーム約2つ分の広大な敷地内には、コーヒーのほかにもマンゴーやパパイヤ園、オーシャンビューの隠れ家コテージ、炊事場などを完備したキャンプ場なども。珈琲づくりを体験した後に、コテージで宿泊しても楽しそうだ。

今回案内してくれるのは、又吉コーヒー園代表の「又吉(またよし)拓之」さん。
「又吉コーヒー園」はもともと、県内外から人気のあった観光施設「沖縄かぐや園」というバラ園だった。又吉さんは「父が運営していたバラ園ですが、バラを美しく咲かせるためには、どうしても農薬を使わざるを得ません。その現場を見るうち『農薬を一切使わずに、何かできないか』と考えていました。また、2012年の台風で、バラもかなりのダメージを受けてしまって。そんな時、知人から勧められたのがコーヒーでした」と、教えてくれた。
体験できるプランは「収穫&焙煎体験コース」「焙煎体験コース」の2つ。体験メニューは2,000円台~楽しむことができる。
本日は「収穫&焙煎体験コース」をチョイス。
■又吉さんの案内のもと、いざコーヒー園へ。

入口から歩いて数分程度の場所にコーヒー園があり、又吉さんの案内のもと、コーヒー園に向かう。
向かう途中も、又吉さんがコーヒーについてのマメ知識やコーヒー作り体験ができるようになるまでの過程、苦労などを面白おかしく話してくれた。

ハウスの中には、大人の背丈より少し高いくらいの木々がたくさん並んでおり、初めて見るコーヒーの実を見つけた瞬間、思わず「わ!すごい!」と大興奮。
コーヒーの木はとても細く、台風対策がとても大変だということが伝わってくる。
■収穫スタート!

最初にコーヒーの実を入れるカップを受け取り、収穫の方法について又吉さんからレクチャーを受けた後、収穫スタート。
最初は約100株のコーヒーの木からスタートしたコーヒー園。現在では約1100株の植え付けが完了し、無農薬栽培で育てた木には、真っ赤なコーヒーチェリーの実がたくさん実っていた。
たくさん実っている中で、収穫する対象は濃い赤や黄に色づいた実。特に深いワインレッドの色の実はちょうどよく熟しているそうだ。実はつまんで少しねじるだけで簡単に手摘みができる。
収穫時間約10~15分ほどで、カップがいっぱいに。完全無農薬の実を一粒かじってみると、意外な甘さにビックリ。糖度20度にもなるコーヒーは、実は甘い実をつける果物なのだそう。

5年目の木で、一株から採れる実は約3~5kg。そこから加工してコーヒーになるのは、多くてもわずか10分の1の量500gほどなのだとか。実際にその量を目の当たりにすると、コーヒー栽培の難しさや、県産コーヒーの貴重さが分かる。

「いっぱい摘めました!」と、みんなで摘んだ実を見せ合いっこ。大人も夢中になる収穫は、子どもも簡単に楽しめるので、ファミリーでの体験もおすすめだ。
■摘みたての実を持って、作業場へ。

収穫が終わった後は、お散歩気分で敷地内を移動。やんばるの風景を楽しみながら、自然の空気をたくさん吸い込むのが心地よい。
ちなみに又吉さんは、行きも帰りも終始後ろ向きに歩きながら話を聞かせてくれる。数分間の短い移動時間も、まるでガイド付きバスツアーのように楽しい時間を過ごすことができた。
■加工~焙煎作業スタート

店舗の隣に設置されているブーゲンビリアに囲まれた作業場に到着。ここで、収穫したばかりの実から1杯のコーヒーを淹れるまで、全て自分の手で作業する。
(1)コーヒーの実から種を取り出す
地図を見る